「死者の書」死後、人は心臓を計られるという古代エジプトの思想

古代エジプトの「死者の書」には、とても考えさせられる場面があります。「心臓の計量」です。

死者の心臓は、真理をあらわす「マアトの羽」と天秤にかけられます。釣り合えば永遠の命が与えられ、重ければ怪物に食べられてしまう、と考えられていました。

古代の人々にとって心臓は、ただの臓器ではなく、その人らしさや心の全部がある場所。だから天秤で計られるのは、持ち物や地位じゃなく「どう生きてきたか」という心そのものだったんです。

このパピルスに描かれているもの

左側

白衣の人物が「死者」です。冥界に入った後、審判を受けています。

その隣にいるジャッカル頭の神が アヌビス。天秤を操作して心臓の重さを量っています。

天秤の下

犬のような姿の怪物が描かれています。これは アメミット(ワニ・カバ・ライオンを合わせた怪物)で、もし心臓が重すぎた場合、その心臓を食べて魂を消し去る存在です。恐ろしいです。

天秤の右側

鳥の頭を持つ神が トート。書記の神で、審判の結果を記録しています。

右端の玉座

白い冠をかぶっているのが オシリス、冥界の王です。死者はここで審判を受け、心臓が「真理(マアト)の羽」と釣り合えば、永遠の命を手に入れてオシリスの王国に入ることができます。

オシリスの後ろにいる女神

姉妹の女神、イシスとネフティスが彼を守護しています。

そして死者の書には「否定の告白」と呼ばれる言葉もあります。

死者は神々に向かって「私は嘘をつかなかった」「私は人を苦しめなかった」と告白します。これは罰を避けるためではなく、「私は自分の心に嘘をつかずに生きてきた」という宣言でした。

いま風に言葉にするとしたら、、、、

「私は自分らしく生きました」

「私は自分に正直でした」

「私は本当の自分を大切にしました」

という自分自身への宣言に近いと思います。

古代エジプト人にとって大事だったのは、宇宙の大きな秩序にちゃんと調和して生きること。ハーモニーです。もっとカジュアルに言えば、大きな流れに逆らわず、自分もその中で心地よく生きること。

それは結局、今の私たちが大切にしたい「自分らしく、自分を生きる」という感覚と同じなんじゃないでしょうか。

つまりこのパピルスの絵が伝えているのは、

古代エジプトの人たちにとって「大事なのは何を持っていたかとかじゃなくて、どんなふうに生きてきたか」だったということです。

自分に正直で、自分らしく生きた人の心は軽やかで羽と釣り合うというお話。

「心臓の計量」が問いかけてくれているのは、行いの細かいチェックではなくて、最終的にはその人の「在り方」なんですよね。

古代エジプトの人たちは、

「どれだけ正直に、自分らしく在れたか」

「心が軽やかでいられる生き方をしてきたか」

を大切にしていました。深いですね。

つまり、この絵は

在り方そのものが永遠につながる

という死生観をわかりやすく示してくれていると感じます。

お店にも、アトリエにも、この死者の書のパピルスは飾ってあります。見るたびに、「在り方」ということを思い出すように。

 

 

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