パピルス – 香りと紙の元になった記録の植物、古代エジプトの下エジプトの象徴
パピルス – 香りと紙の元になった記録の植物、古代エジプトの下エジプトの象徴
エジプトの精由工房からカルナックの家に届けられたパピルスの精油。今回のバタバタの帰省の目的でもありました。首を長くしてハラハラして本当に届けられるか、、、笑。
待ってました!
エジプト・デルタ地帯の湿地で育った新鮮なパピルスを、収穫直後に乾燥させて水蒸気蒸留して作られた特別なロットなのです。

マイエジプトジャパンが特別に今回オーダーしたものです。

(この新鮮なパピルスをすぐに乾燥させて使う蒸留は、ロットごとにかなり香りが違うようですので、今後も楽しみ)。
鮮やかな美しいグリーンの色をしていて、香りはウッディというよりも爽やかで、草のような青み。

一般的なパピルス精油は乾燥した根や茎を使うようで、スモーキーで重くなりますし茶色っぽいのですが、このロットはまったく違います。
生きた植物の香りとエネルギーをそのまま閉じ込めたようなグリーンの美しい透明感。
パピルスには、もともとα-ピネンやリモネンといった軽いテルペン類が含まれているそうです。
α-ピネンは森林の空気のような清涼感を、リモネンは明るい柑橘のような透明感をもたらします。
通常のパピルスではこれらの成分が時間が経ったものを使ったり、乾燥や熱のせいで失われてしまうようですが、この工房のように収穫したばかりの根茎を短時間で乾燥しすぐに蒸留することで、その揮発成分が保たれたままでグリーンで瑞々しい香りが生まれるみたいです。
フレッシュ蒸留のパピルスは、古代の池や湖を思わせるような静けさをもちます。
湿った大地や水を感じさせる香りで(全く重くない、水がちゃんと流れているかのような)
そこには“流れ”や“循環”といった生命そのもののリズムも感じることができます。
この香りは、古代エジプトの香油づくりでも大切な意味を持っていたようです。
古代エジプトでは、パピルスは単なる植物ではなく、
香料、お供物、再生の象徴として神殿での儀式に使われていました。
とくに神殿で調香された聖油には、パピルスの根が「香りを和らげ、全体をつなぐもの」として加えられていたと伝えられます。
フランキンセンスやミルラのような強い香りをまとめ、調和させる役割を持っていたと考えられますね。
また、パピルスは湿地から生える植物であるため、
「混沌の水(ヌン)からの創造」を象徴する存在でもあったそう。
神殿の装飾壁画では、パピルスがナイルの神ハピやワジェト女神とともに描かれますし、

生命の源や再生の印として表されています。(壁画の下のほうから生えてる感じ、見えますか?)
現生と神々の世界を繋ぐ架け橋のような存在として受け止められていたのでしょうか。パピルスの茎は長いですしね。
その意味で、香りとしてのパピルスは「地と水の香り」でありますし、
祈りを天へと昇らせるフランキンセンスとは対になるような香りで、
香油の中では、上昇と沈静、上と下、祈りと記憶を結びつける“媒介の香り”であったとも。
そして、パピルスがもうひとつの形でエジプトに貢献したのが「紙」になったパピルス。
茎の内側を薄く裂いて水に浸して繊維を並べ、圧をかけて乾かすことで作られるパピルス紙。当店でも販売している、あのパピルスアートの紙です。
この素材は神々の言葉、王の記録、祈りや呪文、医療のことなどを記すために使われていました。
このパピルスの絵は↓、古代エジプトの死生観を描いた死者の書の中の「ラストジャッジメント」。最後の審判のお話。

香りが目に見えない祈りを伝えるのに対して、
パピルス紙は言葉という形で神聖なものを伝え、そして残すための媒体だったのです(古代エジプトの時から香りは本当に媒体です)。
パピルスは書記神トトの象徴でもあり、知恵、記録、言葉、再生と深く関わっています。
また、王冠や神殿の柱にはパピルスの形が多く使われて、下エジプトを象徴する植物でした。(上エジプトの象徴はロータス)。
このように、パピルスは香りの世界と文字の世界の両方で、
「流れ」「記録」「つなぐ」という共通した意味を持っていたのではないでしょうか?
香りでは、天と地、水と命をつなぐ。
紙(パピルス紙)では、神の言葉と人の世界をつなぐ。
どちらも“橋渡し”のような役割を果たしていました。
現代でもデルタ地帯のものを使ったフレッシュ蒸留パピルスは、このようなことを香りで感じさせてくれる稀な精油だと思います。
パピルス精由の香りや色を通して、古代から続く生命の記録と祈りの記憶を感じていただけたら嬉しいです。
以下にパピルス精油のことをまとめました。
(精神面への作用)
● 安定と鎮静
パピルスは地中深くに根を張る植物です。そのため心を地に戻すようなグラウンディング効果があります。
過剰な思考や感情のアップダウンを鎮め、静かな集中をもたらす香りです。
意識が自然と中心へ戻りやすくなります。
● 緊張の緩和と呼吸の調整
α-ピネンなどの清涼成分が含まれているため、呼吸を深くゆるめる効果があります。
不安や焦燥感を感じるとき、空気を通すように爽やかに香らせると、胸の重くるしさが軽くなるような印象を与えてくれます。
● 調和と再生のサポート
古代エジプトでは「流れを整える香り」として使われていました。
現代的に言えば、停滞していた気分やエネルギーを動かし、心の循環を回復させるような香りです。
内面を整理したい時期や、再出発のタイミングに特におすすめです。
(身体面への作用)
● 循環と代謝のサポート
根や茎から得られる精油は、血流やリンパの流れを整える植物として古くから知られてきました。軽いマッサージオイルやキャリアオイルにごく少量ブレンドすると、身体のめぐりを穏やかに促すサポートが期待できます。
● 皮膚への穏やかな安定感
スモーキーで重い根系精油(ベチバーやパチュリなど)よりも軽く、
肌に使うときはキャリアオイルでしっかり希釈すれば、皮膚を柔らかく保つ効果もあるようです。乾燥や、緊張によるこわばりを和らげたいときに。
古代エジプトでは、今のような水蒸気蒸留法はまだありませんでした。
その代わりに、人々はベンオイル(モリンガの種のオイル)などの植物油に、花や樹脂、根などを漬け込んで香りを移していました。
香りを“油に写す”という、とても自然でゆったりした方法で香油を作っていたのです。
でも今の時代、私たちはパピルスを水蒸気蒸留した精油そのものとして感じることができます。
古代では香油としてしか味わえなかった香りを、こうして一滴の精油から直接感じられるなんて、本当に特別なことだと思います。
そして、その香りを再びベンオイル(モリンガ種の圧搾油)でブレンドしてみると、
まるで古代エジプトの香油づくりを再現しているような気分になると思います。
香りを嗅ぐだけで、砂漠の風やナイルの水面のキラキラした感じがふっと浮かぶような、そんな体験です。目を閉じて意識をエジプトに飛ばしてみてください。行けます 笑。
マイエジプトジャパンは、このような“古代の香りの知恵”を今の暮らしの中で楽しめるように、ちょっとマニアックなくらい本気で探求しています。
5000年以上前からエジプトに存在していた植物や香り。
昔から人々が大切にしてきたものを、なるべくそのままの形で、今の日本に届けたい。
新しいものを作るというより、昔からそこにあったものをもう一度手に取る。
それが、私たちの喜びでありマイエジプトジャパンの願いです。
写真は↓、デルタ地帯の一般家庭の庭に育っていたパピルスです。8月の下旬の暑い時に撮影しました。緑が濃いですね。











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