香りの記憶をたどる旅 ― 南インド編

南フランスに続き、10月下旬にコーチンとマイソールを訪ねることになりました。

一緒に旅をしてくれるのは、エジプトのシワや砂漠、最初にフランキンセンスの聖地サラーラを旅した友人・かず子さん。

自他ともに認める「ウェルネス探求家」です。これまで20年以上にわたり、化粧品開発やウェルネス、オーガニック業界で培ってきた豊かな経験と感性で、いつも私に新しいインスピレーションや刺激を与えてくれる人。しかし美容業界にいながら、彼女自身はまったく飾らず、モンゴルの草原で馬に乗ることが大好きな自然体の女性です。誘われても私は行けないくらい、、、(汗)草原と馬と遊牧民しかいない 笑。

当店でも発売以来大人気のフランキンセンスのミスト「サクラグロウミスト」は、彼女が開発してくれたレシピです。

そんな彼女と一緒にまた新たな地を訪ね、香りの文化史を辿る旅へ出発します。

南インドを旅したいと思ったのは、香りの源をたどってみたかったから。

コーチ(コーチン)は、古くからスパイスと香の港として栄えた街。

この街から、インドの香辛料や香木が船でアラビア半島を通り、エジプトや地中海の世界へと運ばれていきました。

古代エジプトではフランキンセンスやミルラのほかに、南インドからの香料も使われていたといわれています。そう思うと、エジプトで祈りや浄化に使われていた香りの一部は、実はこの地を経由してナイルへ渡ったのかもしれません。

そしてマイソール。

ここは、サンダルウッドの都とも呼ばれる場所。古代から神聖な香木として扱われ、エジプトの神殿でも儀式の薫香や軟膏にサンダルウッドが使われていた記録が残っています。

マイソール産のサンダルウッドは、世界で最も高貴で芳醇な香りを持つといわれています。深みのある甘さと柔らかなウッディノート、その奥にほんのりとした温もりを感じさせる香り。

この土地の気候や土壌が生み出す香りは他の産地では再現できないとされ、世界中の調香師や香油職人が“マイソール産”の名に特別にこだわり続けています。

昔々は王や貴族のためだけに使われていたその香木は、いまも政府によって厳しく管理され伐採には特別な許可が必要です。マイソールのサンダルウッドは、「奇跡のような自然界からの贈り物」、そして人の手で守られ続けてきた文化そのものです。

いま私が取り扱っているアッターオイルの中にも、マイソール産サンダルウッドが使われていますが、エジプトの香油文化を現代に伝えるうえで欠かせない存在だと感じています。

コーチでは香りが海を渡っていった歴史を、マイソールでは香りが生まれる瞬間を。

その両方を自分の目で見て、肌で感じたい。

古代エジプトの香りの物語は、いまも世界中の土地とつながっています。

私はその流れの中にいる一人として、エジプトと南インドを結ぶ“香りの道”をもう一度たどってみたいのです。

香りをたどる旅は、まだ続きます。オマーン、南フランス、そして南インドへ(毎回あてもなく知り合いもいない場所に出かけ、そして様々なご縁が繋がっていく旅になるから面白い)。

これからも古代エジプト五千年の香りの歴史に触れながら、その香りを現代に生きる私たちのもとへつないでいきたいと思っています。

 

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