香りの文化を辿って・フィレンツェ
— 香りの旅の、次の地点 —
これまで私(店主ソフィア)は、
長い時間をかけて、香りの文化を辿る旅を続けてきました。
何度も行き来してきたエジプト、
今月で6度目となったオマーン、
昨年秋に訪れた南フランス、
そして南インドのコーチン。
それぞれの土地で、香りは
祈りとして、
交易として、
そして知恵として、
人々の暮らしの中にありました。
そんな流れの中で、
「次にどうしても行きたい場所」として
自然に浮かび上がってきたのが、イタリア・フィレンツェです。
【修道院と、香りのあり方】
フィレンツェで待っているのは、これまで出会ってきた香りが、
人の手によって整えられ、受け継がれていった場所だという感覚です。
古代では、香りは
神殿で焚かれる煙であり、
王や女王の身体を守るための香油でした。
それがフィレンツェでは、
修道院の薬局という場所で、
少し違うかたちをとります。
サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局に象徴されるように、
修道士たちは
フランキンセンス、ミルラ、ベンゾイン、シトラスなどの香料を、
霊性と薬効、その両方を意識しながら扱っていました。
香りはここで、
「祈りのためのもの」でもあり、
「生きるための知恵」でもある、
その両方に寄り添うものとして、用いられるようになります。
それは、私自身がずっと大切にしてきた立ち位置でもあります。
エジプトやオマーンでは、香りは神へと向かっていました。
南フランスでは、香りは一方で暮らしや商業へと広がりながら、
もう一方で、マグダラのマリアが過ごした洞窟のように、
人の内面へと深く向かう場所もありました。
コーチンでは、香りそのものが交易でした。
フィレンツェは、そのどれとも少し違います。
ここでは、
修道院、
錬金術師、
医師たちが、
同じ香料を、それぞれ異なる目的で共有していました。
祈り、
社会的な立場、
美、
知識。
香りが、それらすべての場面に関わっていた都市。
教会や修道院で感じるのは、
清めというよりも、
香りがもっと身近なものとして使われるようになった頃なのかもしれません。
【香りが、伝えられるものになる】
フィレンツェでは、香りが
配合され、
記録され、
レシピとなり、
ちゃんとした名前を持つようになります。
これは、香りの歴史の中でも大きな変化だったと思います。
古代エジプトの香りは、名前というよりも、
音や働き、在り方として存在していました(例えば7つの聖なる香油のアンティウやメンチェトなどのように)。
香りは説明されるものではなく、儀式や祈りの流れの中で、
ごく自然に用いられてきたものだったのです。
オマーンのフランキンセンスの香りは、
そこから世界へと広まり、
コーチンのスパイスの香りは、
交易とともに運ばれ伝わっていきました。
南フランスで出会ったマグダラのマリアの教会や洞窟では、
香りはとても静かなものでした。
誰かに伝えるためではなく、
自分の内側に向かうための香りだったように感じます。
そしてフィレンツェでは、
香りが人に伝えられる形になっていったのです。
マグダラのマリアは、
香りを“生きた”人。
フィレンツェは、
香りを“残した”場所。
この二つは、同じ香りでありながら、
まったく違うあり方をしています。
今、私が
商品説明や、
香りが生まれた背景、その奥にある話を
大切にしているのも、
きっとこうしたことに繋がっているのだと思います。
【旅の中で感じたいこと】
フィレンツェで待っているのは、
強い神秘体験や、
何か特別な啓示ではないと思っています 笑。
それよりも、
これまで自分がやってきたことが、
長い歴史の流れの中に、
自然とつながり溶け込んでいく。
そんな、納得の時間になる気がしています。
【これから巡る場所、そして戻る場所】
今回の旅では、フィレンツェを中心に、
ローマやシチリアも巡ります。
どの土地も、
香りの旅、文化の中で自然につながっている場所です。
エジプトには、また近いうちに戻ります。
香りの原点であり、起源。
私にとっては、第二の故郷のような場所です。
フィレンツェという場所では、
旅の中で香りを無理に探すつもりはありません。
修道院の空気や、
古い建物の匂い、
薬草の香り。
その土地の空気を感じるつもりです。
フィレンツェは、
自分がどこに立っているのかを、
じんわりと教えてくれる場所なのかもしれません。
【旅のあとに】
今回の旅では、
たくさんのお土産も買って帰ります。
そこで感じたこと、
繋がったことを、
また皆さんとシェアできる時間を楽しみにしています。
そして、
当店でオリジナルとしてお届けしている
昔ながらのチンキ、
バーム、
蒸留水のスキンケア、
精油。
それらの原点を、
しっかり見てきたいと思います。
旅の間は、
皆さまと一緒に旅をしているような気持ちで、
ストーリーなどでも、
その土地の空気感をシェアしていきます。
どうぞ、
お付き合いくださいませ。
※写真は、秋に訪れた南フランスの修道院です。









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