聖油

エジプトのさまざまなオイルに出会い、取り扱うようになって、随分と年月が過ぎました。オーストラリア在住の時に始めたエジプシャンオイルですが、福岡にお店を構え、そして自由が丘に移転して三年が経ちました。

昨年から当店のラインナップが変わっていき、所謂「香油」と呼ばれるものや、「エジプシャンオイル」と言われる香りのオイルの取り扱いが3月で終了し、長く応援してくださってる方々は、店主のソフィアはどこへ向かうのだろうと少し不安になられているかもしれません。

私が長い間を経て感じるようになったことは、エジプシャンオイルを扱う方達、関わる人たちの「在り方」が変わっていったということです。

日本でもエジプシャンオイルという名前が浸透していき、多くの方が取り扱うようになり、たくさんのブレンドオイルもさまざまなところで作られるようになりました。

エジプシャンオイル自体は何も悪くなく、非もなく、きっと少し前までは数千年の歴史を大切に引き継ごうとしてきたのかもしれませんが、残念ながら取り扱う人たちの「在り方」がここ最近は変わってしまいました。

エジプトでも後継者問題は深刻でしょうし、特にエジプシャンオイルに関しては、残念ながら海外での生産がメインになってしまっているという事実があります。

どこの国で生産されてもエジプト香油には変わりないから関係無いと思う方も多くいらっしゃるかもしれませんが、私がこだわっていきたいのはやはり「エジプト」の地で育った植物をエジプトの地でエジプト人によって作られた伝統的なオイルです。また古代エジプトの人々がそうしたように、私たちも同じようにフランキンセンスはオマーンのもの、ミルラはイエメンのものを届けたいのです。

エジプシャンオイルは、これまでも今でも製法が明らかにされていなくて、いつの時代もシークレットでした。工房やファクトリーといった場所を見ることも、関わっている人を見ることもできませんでした。それが神秘的で知らされないことは知るべきではないと思っておりましたが、ここ2−3年で状況が変わっていっているのも感じ、直接工場のオーナーさんから海外にファクトリーを移されたことなども知らされたり。

これ以上エジプトで作られるエジプシャンオイルを新たに入荷するのは厳しいという壁にぶつかりました。

もちろん新しく入荷するものを「エジプト産」ですよと言って、販売することはできたかもしれませんが。

* 現在取り扱っているマーサラオイル(ブラックシードやホホバオイルなど)はエジプトの植物を雌牛が石臼を引いて作る、古くから伝わる製法のオイルです。ルクソールからしばらく車を走らせると小さな古い500年も続く工房があります。

工房も実際に何度も訪れ、家族ぐるみでとてもアットホーム。雌牛も可愛くて。そこで作られたブラックシードオイルや、ホホバオイルは直接肌につけられますし、当店でもとっても人気です。気が遠くなるような作業を丁寧にこなされております。

* そして新しく加わったエジプトの精油。

これは、カイロから随分と走ったところにある小さな工房で丁寧に蒸留したり圧搾したりしているオイルです。実際に広大な土地に植物も育てていたりします。ここで作られているのはエッセンシャルオイル、精油です。

全て農薬を使わないで育つ果実や植物の精油。エジプトで育つものだけにこだわったラインナップです(ここから届く精油は、いろいろハプニングを乗り越えながら、皆様にお届けしてます 笑。田舎の方達なので仕方ないです)。

私がルクソールで暮らしていてわかるのですが、みかんやレモン、バジルやローズゼラニウムなど、農薬は不要です。日差しが半端で無いのと、雨が全く降らない。だからとっても濃厚で美味しい。香りがすごい。そんなエジプトの植物を蒸留するオイルだから濃くてパワフルなのです。もちろん一回目に蒸留した精油です。

* オマーン産の精油、フランキンセンスやミルラ。こちらは、当店が取り扱う樹脂を直にオマーンで蒸留してもらっています。蒸留をする男性は調香も手がけております。そういうわけで、精油の出来上がりにはとってもこだわりがありうるさい 笑。

樹脂の蒸留ってかなり難しくて、やはり香りを引き出したり、深い香りの精油を作れるのは、樹脂に精通した熟練のオマーンで生まれ育った方にやってもらうのが良いと感じて行き着きました。彼らはやはり上手いです。

古代エジプトの時より、フランキンセンスやミルラはオマーン近隣の国から取り寄せて使われていたのです。エジプトにはボスウェリアサクラの種類は自生できませんので、ハトシェプストも、クレオパトラも、みんな船で取り寄せました。私たちは今は日本へは空輸便で 笑。

* そしてアッターオイル。こちらはフランキンセンスの蒸留も手がけるオマーンの調香師が自らブレンドしてくれている、とても特別で大変歴史が長くエジプトでもオマーンでも中東では愛されてきたオイルです。神秘家や、求道者たちが使ってきた「植物の神秘を身に纏う」オイルです。薬機法も申請済みの、直接肌につけられる、塗布していただけるアッターオイルは、フランキンセンスやサンダルウッドが大好きな方に人気です。マイソールサンダルウッドは、インドからもう大変な道のりで届いてます。この話はまた今度。とっても入手が難しいので。きっと精油好きの方ならわかるかな 汗。

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2024年頃から、オイルに対しての考え方が徐々に変わっていき、「香り」を届けるというよりは、「植物の持つ神秘」というものを皆さまに届けていきたいと感じるようになりました。

そして20205年に行きついたところが、マイエジプトジャパンがこれからこだわっていきたいオイルは「聖油」だということです。

「植物本来の力を持ったオイルのことを聖油=セイクレッドオイル」と呼ばせてください。

そしてオイルを扱う人たちの「在り方次第」で神聖な「聖油」、セイクレッドオイルとなると信じてます。

聖油と呼ばれる代表的なオイルには「フランキンセンス、ミルラ、サンダルウッド、スパイクナード」などが挙げられますが、在り方次第では聖油ではなくなると思うのです。

どんな意識でオイルと接し扱うのか。どんな思いでオイルを届けていきたいのかをずっとこれからも大切にしていきたいです。

マイエジプトジャパンが取り扱う精油は「聖油」ですと皆様に感じていただけるよう、変わらず、エジプトを愛するスタッフたちと一緒に精進して参ります。

エジプトで育った植物、オマーンやイエメンで自生する木の樹脂。そんな植物をまるで錬金術師のように聖油に変えてくれる人たちがちゃんといます。

どうぞ聖油の神秘に導かれてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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